トルコの民族衣装とは?地方ごとの伝統衣装とイスタンブールでできる宮廷衣装体験

「トルコの民族衣装」と聞いて、どんな服を思い浮かべますか?

ゆったりとしたパンツに刺繍入りのベスト、頭にはスカーフや帽子。あるいは、金色の装飾がついた豪華なカフタンを着たスルタンの姿を想像する方もいるかもしれません。

でも実は、これらを全部まとめて「トルコの民族衣装」とするのは少し違います。

トルコには地域ごとの伝統衣装があり、一方、観光地などでよく見かける豪華なカフタンは、オスマン帝国の宮廷文化をイメージした衣装です。

この記事では、トルコの民族衣装とはどんなものなのか、女性・男性の伝統衣装やカフタンについて簡単に紹介します。
さらに後半では、イスタンブールのスルタンアフメト地区で、実際にオスマン帝国風の宮廷衣装を着て写真撮影できる体験も紹介します。

※わたしは民俗学者でも服飾史の専門家でもありません。ここでは難しい研究ではなく、旅行者が「トルコの民族衣装って結局どんな服?」とイメージしやすいように、できるだけわかりやすく整理しています。

目次

トルコの民族衣装とは?

まず知っておきたいのが、トルコには「これがトルコの民族衣装です」と言える一種類の服があるわけではないことです。

トルコは東西に長く、黒海地方、エーゲ海地方、中央アナトリア、東アナトリアなど、地域によって文化も気候も異なります。

そのため昔から受け継がれてきた服装も地方によってさまざま。

日本語で「トルコの民族衣装」と呼ばれているものは、実際には各地方の伝統衣装・郷土衣装をまとめて指していると考えるとわかりやすいでしょう。

トルコ文化観光省の資料でも、伝統的な服装にはエンタリ(長衣)、シャルワール、前掛け、ベスト、上着、頭飾りなどさまざまな要素があり、地域や民族集団によって組み合わせが異なることが紹介されています。

シャルワール(şalvar)とは、腰まわりや脚にゆとりを持たせた伝統的なパンツのことです。
トルコだけでなく、西アジアから中央アジアにかけて広く見られる衣服で、トルコでは地域によって形や素材、合わせる上着などが異なります。

さるぱんちゃん

MCハマーが履いていたような、股上が深くゆったりしたパンツを想像するとわかりやすいです。

トルコの伝統衣装は少し「遊牧民っぽい」

トルコの地方衣装を初めて見ると、「なんとなく遊牧民っぽい」と感じる方もいるかもしれません。

実際、アナトリアにはユルックやトルクメンなど遊牧・半遊牧の文化を受け継いできた人々もおり、伝統衣装にもその文化を見ることができます。

よく見かけるのが、

  • ゆったりとしたシャルワール
  • 刺繍の入ったベストや上着
  • 腰帯
  • 長い上衣
  • スカーフや装飾を施した頭飾り

などです。

※画像は伝統的な服を着ているトルコのアダナ(Adana)にある田舎の石のドアの前に座っている男性

ただし、これも「昔のトルコ人が全員この格好をしていた」という意味ではありません。

地方によって衣装はかなり違います。

女性のトルコ民族衣装

女性の伝統衣装も、地方によって色や形、装飾が大きく異なります。

代表的なものとして見かけるのが、ゆったりしたシャルワール(şalvar)に、長めの上衣や刺繍入りのベストを合わせるスタイルです。

結婚式や祭りなどで着られる衣装には、金糸・銀糸の刺繍や鮮やかな色が使われることもあります。

※画像は色とりどりの伝統的な衣装を着ているトルコのシバス(Sivas)の女の子

また、頭にスカーフを巻いたり、アクセサリーやコインなどを使った華やかな頭飾りをつけたりする地域もあります。

つまり「トルコ女性の民族衣装」と検索して出てくる写真が全部同じ形ではないのは、間違いではありません。

もともと一種類ではないからです。

男性のトルコ民族衣装

男性の伝統衣装でも、シャルワールはよく見られます。

そこにシャツやベスト、短い上着、腰帯などを組み合わせます。

帽子や頭にかぶるものも地域によって異なり、衣装を見るとその土地の文化が感じられるのも面白いところです。

現在では日常生活でこうした服を着る人はほとんどいませんが、伝統舞踊や祭り、結婚式などで見る機会があります。

トルコの民族衣装でよく見る「カフタン」とは?

「トルコ 民族衣装」で検索すると、豪華なカフタン(kaftan)の写真もよく出てきます。

ただ、ここは少し整理しておきましょう。

カフタンという名前の衣服そのものは広い地域・時代で使われてきましたが、私たちが「トルコのカフタン」と聞いて思い浮かべる豪華なものは、特にオスマン帝国の宮廷衣装として有名です。

トプカプ宮殿には、オスマン帝国時代のスルタンなどが着用した豪華なカフタンが現在も残されています。

16〜17世紀の宮廷衣装には、絹やベルベット、金銀を使った織物なども用いられ、衣装は権力や地位を表すものでもありました。

つまり、

地方の人々が着ていた伝統衣装と、スルタンや宮廷人が着ていた衣装は別物です。

日本でたとえるなら、「民族衣装を着る」というより、十二単や束帯などの宮廷衣装を着る感覚に近いでしょう。

『オスマン帝国外伝』の衣装を想像するとわかりやすい

海外ドラマが好きな方なら、『オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜』を見たことがあるかもしれません。

スレイマン大帝やヒュッレム・スルタンなどが登場する、オスマン帝国の宮廷を舞台にしたドラマです。

今回紹介するイスタンブールの衣装撮影も、イメージとしてはこちら。

「トルコの地方民族衣装を着る体験」ではなく、スルタンや宮廷人になりきって写真を撮る体験と考えるとわかりやすいと思います。

※画像はトプカプ宮殿の天井。

トルコの民族衣装とオスマン帝国の宮廷衣装の違い

簡単に整理すると、次のようになります。

地方の伝統衣装オスマン帝国の宮廷衣装
イメージ郷土衣装・生活文化スルタン・宮廷人
主な特徴シャルワール、ベスト、腰帯、頭飾りなど豪華なカフタン、王冠、装飾品など
デザイン地域によって大きく異なる宮廷らしい華やかなもの
今回紹介する撮影体験こちらではないこちら

「トルコの民族衣装を着てみたい」と思って探している方は、この違いを知っておくと体験内容もイメージしやすくなります。

イスタンブールでオスマン帝国風の宮廷衣装を着て写真撮影できる

では、せっかくトルコへ行くなら、見るだけではなく自分でも着てみたい。

そんな方が気軽に参加できる衣装撮影があります。

場所は、イスタンブール観光の中心となるスルタンアフメト地区。

アヤソフィア、ブルーモスク、トプカプ宮殿などから歩いて行ける場所にあり、観光の途中に立ち寄れます。

所要時間は約25分。

半日ツアーに参加するようなものではないので、旧市街観光の予定にも組み込みやすい体験です。

スルタンやヒュッレム・スルタンになって撮影

用意されているのは、スルタン、スルタナ、戦士などをイメージした衣装。
カフタンのほか、剣や王冠、扇子などの小道具も用意されています。

宮殿風のセットでポーズを決めれば、まさに『オスマン帝国外伝』の世界です。

『オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜』は、オスマン帝国の最盛期を築いたスレイマン大帝と、その妃ヒュッレム・スルタンを中心に、宮廷の権力争いや恋愛を描いたトルコの歴史ドラマです。豪華な宮廷衣装やハレムの世界観でも知られています。

歴史好きなら、トプカプ宮殿を見学したあとに参加するのも面白いと思います。
さっきまで「ここにスルタンが住んでいたのか」と宮殿を見学していたのに、今度は自分がスルタンになるわけです。

さるぱんちゃん

トルコドラマは世界各国に輸出されていて、トルコにとっても大きなコンテンツ産業のひとつです。
日本でいうと、アニメが海外で広く見られている感覚に少し近いかもしれません。

衣装は普段着の上から着られる

旅行中に衣装体験というと、

「着替えるのが大変そう」

と思うかもしれません。

この撮影では、普段着の上からカフタンを着用します。
本格的な着替えは必要ありません。

所要時間が短いのも、この気軽さがあるからでしょう。

わたしもボドルムで衣装を着て写真を撮ったことがあります

わたしも以前、トルコのリゾート地ボドルムで、こうした衣装を着て写真を撮ったことがあります。

正直、旅行前から「絶対にこれをやりたい!」と思っていたわけではありません。

なんとなくやってみただけです。

でも、実際に着てみるとこれが意外と面白い。

今でも写真を見ると、そのときのことをちゃんと思い出します。

こういう体験って、その場ではちょっと笑って終わるのですが、あとになって妙に思い出に残っていたりするものです。

※画像はイメージです。

個人的には、一人で参加するより、家族や友人、夫婦など誰かと一緒にやるのがおすすめ。

衣装を選ぶところから「あっちの方が似合う」「いや、それは違う」などと言いながらやるのも含めて、旅の思い出になると思います。

さるぱんちゃん

カメラマンがそれっぽいポーズを教えてくれるので、仕上がった写真もちゃんと“それっぽく”なるんです。
自分ではまずしないポーズばかりで、これが最高に面白かったです。

基本プランには印刷写真1枚が含まれる

この体験では40枚以上撮影し、その中から選んだ印刷写真1枚が基本プランに含まれています。

ただし、ここは予約前に確認しておきたいポイントです。

デジタル写真や追加の印刷写真、アルバムなどは、選ぶプランや追加購入によって扱いが異なります。

「撮影した40枚が全部料金に含まれている」という意味ではありません。

予約するときは、含まれる写真の枚数やデータの扱いを確認しておきましょう。

宮廷衣装撮影はこんな人におすすめ

この体験は、特に次のような方に向いています。

  • イスタンブールで少し変わった思い出を作りたい
  • 家族・友人・夫婦で旅行している
  • オスマン帝国の歴史が好き
  • 『オスマン帝国外伝』が好き
  • トプカプ宮殿を見学する予定がある
  • 長時間のアクティビティには参加したくない
  • 旅行らしい写真を残したい

反対に、アナトリア各地に伝わる本来の地方衣装を着てみたい方が探している体験とは少し違います。

ここで着るのは、あくまでオスマン帝国のスルタンや宮廷文化をイメージした衣装です。

Powered by GetYourGuide

スルタンアフメト観光の途中に組み込みやすい

この体験の一番いいところは、わざわざ衣装撮影のためだけに遠くまで移動しなくてもいいことだと思います。

スタジオはスルタンアフメト広場周辺。

アヤソフィア、ブルーモスク、トプカプ宮殿といったイスタンブール旧市街の王道観光地を巡る途中に立ち寄れます。

所要時間も約25分なので、

午前中に旧市街を観光 → 宮廷衣装で記念撮影 → ランチ

くらいでも十分組み込めます。

GetYourGuideでは日時を指定して事前予約できます。

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まとめ|トルコの民族衣装と宮廷衣装は少し違う

「トルコの民族衣装」と一言でいっても、実際には一種類ではありません。

トルコ各地には、それぞれの土地に受け継がれてきた伝統衣装があります。

シャルワールや刺繍入りのベスト、腰帯、スカーフなどを組み合わせた服もそのひとつです。

一方、私たちがトルコ旅行で目にする豪華なカフタンは、オスマン帝国の宮廷文化と深く結びついた衣装。

今回紹介したイスタンブールの撮影体験も、地方の民族衣装を着るというより、スルタンや宮廷人になって写真を撮る体験です。

イスタンブールではアヤソフィアやブルーモスク、トプカプ宮殿など、「見る観光」がどうしても多くなります。

その途中で25分だけ、自分もオスマン帝国の世界に入ってみる。

こういうちょっとした体験が、案外あとまで旅の思い出に残ったりします。

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この記事を書いた人

さるぱんちゃんのアバター さるぱんちゃん トルコびいきの旅ノート管理人

広島県出身。アメリカで約20年暮らしたあと、2017年からトルコに移住。トルコ人の夫と暮らしながら、イスタンブールをはじめとする観光地、地方都市、世界遺産、市場、食文化、日々の暮らしなどを取材・発信中。

初めてトルコを訪れる前、「行ってみたい気持ちと、少し身構えてしまう気持ち」が同居する感覚に、英語の apprehensive(これから起きることに対して、不安や心配を感じているという意味)という言葉が重なった経験を持つ。

旅行者としての不安を置き去りにせず、現地で暮らす中で得た実感も交えながら、初めてのトルコ旅行に役立つ情報を発信。

市場、朝ごはん、地方都市、見慣れない食材を見ることが趣味。旅先では観光地だけでなく、スーパーや食料品売り場ものぞくタイプ。世界遺産検定保持者。

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