トルコ料理はなぜ世界三大料理?ケバブだけじゃない理由をわかりやすく解説

「世界三大料理」といえば、一般的に挙げられるのが、

  • フランス料理
  • 中国料理
  • トルコ料理

の3つです。

ここで、

「え、トルコ料理?」

と思った方もいるかもしれません。

日本でトルコ料理というと、まず思い浮かぶのはケバブ。

あとはトルコアイスくらい……という方も多いのではないでしょうか。

でも実際のトルコ料理は、ケバブだけではありません。

スープ、パン、豆料理、野菜料理、魚介、ヨーグルトを使った料理、メゼ、米料理、スイーツまで、とにかく種類が豊富です。トルコ文化観光省も、穀物、野菜、肉、スープ、オリーブオイル料理、ペストリー、野草を使った料理など、幅広い料理がトルコ各地に存在すると紹介しています。

では、なぜトルコ料理が「世界三大料理」のひとつといわれるようになったのでしょうか。

その背景をたどってみると、オスマン帝国の宮廷料理だけでなく、トルコという土地そのものの面白さが見えてきます。

目次

そもそも「世界三大料理」は誰が決めたの?

最初に、ここははっきりさせておきましょう。

世界三大料理を認定する国際機関があって、フランス・中国・トルコを正式に選んだわけではありません。

2021年に発表された「世界三大料理」という認識を検討した研究でも、中国・フランス・トルコが三大料理として広く語られている一方で、いつ、誰が、この3つを選んだのかを示す明確な資料は確認されていないとされています。

つまり、

世界三大料理=世界公式ランキングのトップ3

というわけではありません。

長い歴史を持ち、宮廷料理として発達し、周辺地域にも大きな影響を与えた代表的な料理文化として、この3つが慣習的に「世界三大料理」と呼ばれてきた、と考えるほうが近そうです。

トルコ文化観光省も、オスマン料理について「著名な三大料理のひとつ」と紹介しています。

さるぱんちゃん

「世界三大料理だから世界で1番、2番、3番」という話ではありません。食べ物に順位をつけ始めると、たぶん永遠に決まりません。

なぜトルコ料理が世界三大料理といわれるの?

理由をひとつだけ挙げるのは難しいのですが、大きく見ると次のような背景があります。

1.オスマン帝国の宮廷料理として発達した

トルコ料理を語るうえで外せないのが、オスマン帝国です。

オスマン帝国の中心となったイスタンブールには、皇帝や宮廷で働く多くの人々の食事を作る巨大な厨房がありました。

現在のトプカプ宮殿にも宮廷厨房の施設が残っています。

トルコ文化観光省の資料によると、宮廷厨房は複数の区画に分かれ、宮廷全体のために料理を作っていました。また、デザート類を専門に作る部署もあり、18世紀にはハルヴァなどを作る専門職人と100人を超える見習いがいたとされています。

つまり、

「お腹が空いたから何か作ろう」

という家庭料理だけでなく、

よりおいしく、より美しく、より多彩な料理を作るための専門家集団が存在した

わけです。

宮廷という大きな舞台で料理が洗練され、そこから庶民の食文化にも広がっていきました。

これはフランス料理や中国料理にも見られる、宮廷料理文化との共通点です。

2.巨大な帝国だったから、いろいろな食文化が集まった

オスマン帝国は、現在のトルコだけを治めていた国ではありません。

最盛期にはバルカン半島、中東、北アフリカなど広い地域を支配していました。

そのため宮廷や都市には、さまざまな民族、宗教、地域の食文化が集まります。

現在のトルコ料理に見られるドルマやサルマも、アナトリア、中東、バルカンなど広い地域でさまざまな形に発展してきた料理です。GoTürkiyeも、これらの料理がオスマン帝国の影響を受けながら地域ごとに発展してきたことを紹介しています。

だからトルコ料理を食べていると、

「これ、ギリシャ料理にも似たものがある」
「中東でも食べるよね」
「バルカンにも似た料理がある」

ということがよくあります。

どこか一か国から一方的に料理が伝わったというより、長い年月をかけて地域同士が影響し合ってきた結果です。

トルコ料理は、その巨大な食文化の交差点のような存在ともいえます。

3.アジアとヨーロッパの間にある

地図を見ると、トルコ料理が多彩になった理由がさらにわかりやすくなります。

トルコは、

ヨーロッパとアジアの間。

さらに黒海、エーゲ海、地中海にも囲まれています。

中央アジアから西へ移動してきたトルコ系民族の食文化に、アナトリアに存在したさまざまな料理文化が重なり、その後オスマン帝国の広い領土からさらに多様な料理が集まりました。

海に囲まれた地域では魚介料理も豊富です。GoTürkiyeも、トルコ料理にはケバブだけでなく、スープ、煮込み、魚介、ベジタリアン料理など幅広い選択肢があると紹介しています。

肉だけではないんです。

4.地域によって料理がかなり違う

トルコは国土が広く、地域によって食べるものもかなり違います。

エーゲ海側では、オリーブオイルや野菜、ハーブを使った料理を多く見かけます。

黒海地方では魚料理。

南東部へ行けば、肉料理や香辛料を使った料理が増えます。

中央アナトリアには、小麦やブルグル、ヨーグルトなどを使った料理も多くあります。

トルコ文化観光省も、食習慣や料理が地域ごとに変化すると説明しています。

つまり「トルコ料理」とひと言でくくっても、中身はかなり広い。

日本料理を「寿司だけ」と思われたら、

「いや、味噌汁も煮物も鍋もあるんですが」

と言いたくなるのと少し似ています。

トルコ人もきっと、

「ケバブだけじゃないんですが」

と言いたいことでしょう。

ケバブだけじゃない|トルコ料理には何がある?

実際、トルコへ来ると食べ物の種類の多さに驚きます。

メゼ

メゼ(Meze)は、食事の最初などに並ぶ小皿料理。

ヨーグルト、ナス、豆、野菜、チーズ、魚介などを使ったものがあり、何種類か並べてパンと一緒に食べます。

「いろいろなものを少しずつ食べる」というトルコ料理の楽しさが、とてもわかりやすい料理です。

スープ

トルコではスープも立派な食事です。

レンズ豆を使ったメルジメッキ・チョルバスなどは、レストランでも日常的に見かけます。

朝からスープを食べることも珍しくありません。

野菜料理

ナス、トマト、ピーマン、豆類などを使った料理も豊富です。

オリーブオイルで煮た野菜料理は、肉を使わなくても十分満足できるものがあります。

トルコ料理=肉料理と思っていると、ここは意外かもしれません。

※画像はいんげん豆をトマトなどと煮込んだトルコの家庭料理「ターゼ・ファスリエ」です。

パン・粉もの

シミット、ピデ、ラフマジュン、ボレキなど、小麦を使った料理も豊富。

パンはトルコの食卓に欠かせない存在です。

※画像は、ほうれん草入りのギョズレメです。

米・ブルグル料理

日本でもおなじみの「ピラフ」。

実はその名前は、トルコ語の「pilav(ピラヴ)」を経由して広まったとされています。

料理そのものを「トルコ発祥」と言い切るのは難しく、ルーツはペルシャや中央・西アジアまでさかのぼります。
トルコでは昔からとても身近な料理で、オスマン時代にはさまざまな種類のピラフが作られていました。

米だけではなく、挽き割り小麦のブルグルを使ったピラフも定番です。

魚介

イスタンブールやエーゲ海、地中海沿岸では魚介料理も楽しめます。

冬から春にかけて黒海で獲れるイワシは、トルコ人にも人気の魚。家庭の食卓にもよく登場する、身近な味です。

イスタンブールの街角でよく見かけるミディエ・ドルマもそのひとつ。

ムール貝に味付けした米を詰めたストリートフードです。ムール貝を食べる文化自体にも長い歴史があり、ビザンツ時代からオスマン時代へと続く食文化の影響が指摘されています。

スイーツ

そして忘れてはいけないのが甘いもの。

バクラヴァ、ロクム、ハルヴァ、ミルク系デザートなど、トルコには非常に多くのお菓子があります。

宮廷にはデザートを専門に作る厨房があったほどです。

チャイやトルココーヒーと一緒に楽しむ甘いものも、トルコの食文化のひとつです。

※バクラヴァとひとことで言っても、実はいろいろな種類があります。形やナッツの違いなど、わたしがトルコで見かけたバクラヴァについてはnoteでも紹介しています。気になる方は、こちらものぞいてみてください。

トルコ料理の面白さは「何料理かわからなくなる」ところ

トルコ料理を知っていくと、

「これは中東料理?」
「ギリシャ料理にもあるよね?」
「バルカンでも食べるの?」
「同じようなスパイス、ヨーロッパ地中海沿岸でも使われてるかも」

という料理がたくさん出てきます。

でも、それこそがトルコ料理の面白さだと思います。

長い歴史の中で、人が移動し、国境が変わり、料理も一緒に移動してきました。

オスマン帝国という巨大な国の中では、現在別々の国になっている地域の人々も長い間暮らしていました。

そのため、現代の国境だけで、

「これは100%どこの国の料理」

と簡単に線を引けない料理もあります。

いろいろな地域の食文化が重なっている。

それがトルコ料理の豊かさにつながっています。

世界三大料理のトルコ料理、実際に食べてみるなら?

ここまで歴史の話をしてきましたが、料理なので最後はやっぱり、

食べてみるのが一番早いです。

特に初めてイスタンブールへ行くなら、ひとつ困ることがあります。

食べたいものが多すぎます。

  • トルコ式朝食
  • ラフマジュン
  • ケバブ
  • ミディエ・ドルマ
  • メゼ
  • バクラヴァなど

全部食べようと思うと、旅行の日数より先に胃袋が終了します。

そこで、少しずついろいろな料理を試せるフードツアーを利用する方法もあります。

イスタンブールには、ヨーロッパ側のエジプシャンバザール(スパイスバザール)周辺からスタートし、トルコ式朝食を楽しんだあと、フェリーでアジア側のカドゥキョイへ渡ってローカルグルメを食べ歩くツアーがあります。

一人旅では何品も注文しにくい料理も、グループなら少しずつシェアできます。

\詳細・お申し込みはこちらから/

▶︎ イスタンブールでグルメ食べ歩き|カドゥキョイまで巡るおすすめフードツアー

食べるだけじゃなく、トルコ料理を作ってみるのも面白い

さらに「食べるだけでは足りない」という方には、トルコ料理を自分で作る体験もあります。

イスタンブールでは、メゼ作りやケバブ、ラフマジュンなどを作る料理体験も開催されています。

メゼを実際に作ってみると、

「トルコ料理って肉とケバブばかりじゃないんだ」

ということが、かなり実感しやすいと思います。

料理を食べるだけでなく、材料を見て、作り方を教えてもらい、最後にみんなで食べる。

世界三大料理と呼ばれる理由を、頭ではなく胃袋から理解するのも面白そうです。

\詳細・お申し込みはこちらから/

まとめ|トルコ料理が世界三大料理といわれる理由は「料理の幅」にある

トルコ料理は、フランス料理、中国料理と並んで「世界三大料理」のひとつといわれています。

ただし、誰かが正式に認定した世界ランキングではなく、いつこの3つが選ばれたのかも明確にはわかっていません。

それでもトルコ料理が世界を代表する料理文化のひとつとして語られてきた背景には、

  • オスマン帝国の宮廷料理として洗練されたこと
  • 広大な帝国からさまざまな食文化が集まったこと
  • アジアとヨーロッパの間に位置すること
  • 地域ごとの食文化が非常に豊かなこと
  • 肉、魚、野菜、穀物、乳製品、パン、スイーツまで料理の種類が多いこと

があります。

トルコ料理をケバブだけだと思っていたなら、かなりもったいない。

せっかくトルコへ行くなら、

「これは何だろう?」

という料理にも、ぜひ挑戦してみてください。

世界三大料理と呼ばれる理由は、たぶん一皿のケバブを食べただけではわかりません。

いろいろ食べていくうちに、

「ああ、だからなのか」

と少しずつ見えてくる料理なのだと思います。

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この記事を書いた人

さるぱんちゃんのアバター さるぱんちゃん トルコびいきの旅ノート管理人

広島県出身。アメリカで約20年暮らしたあと、2017年からトルコに移住。トルコ人の夫と暮らしながら、イスタンブールをはじめとする観光地、地方都市、世界遺産、市場、食文化、日々の暮らしなどを取材・発信中。

初めてトルコを訪れる前、「行ってみたい気持ちと、少し身構えてしまう気持ち」が同居する感覚に、英語の apprehensive(これから起きることに対して、不安や心配を感じているという意味)という言葉が重なった経験を持つ。

旅行者としての不安を置き去りにせず、現地で暮らす中で得た実感も交えながら、初めてのトルコ旅行に役立つ情報を発信。

市場、朝ごはん、地方都市、見慣れない食材を見ることが趣味。旅先では観光地だけでなく、スーパーや食料品売り場ものぞくタイプ。世界遺産検定保持者。

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